双極性障害をご存知でしょうか。双極性障害は、両極端な躁状態とうつ状態をくりかえす病気です。気分の波は、誰にでもありますよね。幸せで明るい気持ちの時もあれば、不安や悲しい気持ちの時もあるかと思います。これはごく自然な事で病気ではありません。でも、その気分が行き過ぎていて、そのために家族や周りの人が困ったり社会的信用を失うほどであったら、それは双極性障害かもしれません。今回は双極性障害についてお話ししていきます。
■双極性障害とは
双極性障害は気分が高まったり落ち込んだり、躁状態とうつ状態を繰り返す脳の病気です。日本では、500人に1人くらいに発症しています。男女差はなく、20代から30代前後に発症することが多いといわれていますが、中学生から高齢者まで幅広い年齢で発症する病気です。多くの双極性障害の患者さんはまずうつ状態で受診します。躁状態の時は、いつもより調子が良いと感じ躁状態を病気だと認識するのが難しいからです。その後、躁状態を発症してはじめて双極性障害と診断される事が多いです。
■躁状態とは
躁状態では、気分が高ぶって、自分はなんでもできる!と思ったり、誰かれかまわず話しかけたり、ほとんど眠らずに動き回ったりと行動的になります。高額な買い物をしたり、時には暴言を吐いたり危険な行動をとることがあります。
■うつ状態とは
うつ状態では、一日中憂鬱な気分で、眠れなくなったり、眠れても夜中や明け方に目が覚めたりします。または逆に眠りすぎたりします。今まで興味のあったテレビ番組や趣味にも関心がなくなったり、絶望感や無力感にさいなまれます。食欲が低下し、億劫で身体を動かすことができないといった症状もみられます。
■双極性障害の治療
治療の中心は、薬物療法と心理社会的療法です。また、生活習慣を見直し睡眠や生活リズムを安定させることも大事です。
◉薬物療法
気分安定薬や抗精神病薬を用いて治療を行います。気分安定剤は、薬剤によって異なりますが、躁状態とうつ状態の気分の波を小さくしてくれる働きがあります。どの薬にも言えますが、治療薬を服用していると副作用が起きることがあります。何か気になる症状があれば主治医や医療スタッフに相談しましょう。
◉ 心理・社会的療法
心理・社会的療法では、病気に対する理解を深め対処法を学びます。心理教育を通して、病気と薬を理解し病気と向き合います。
◉認知療法
鬱状態では、物事の考え方が否定的になりやすいです。「○○ができなかった」ではなく、「○○はできた」と肯定的に捉える練習をすることで、うつ状態を乗り切るための考え方を身につけるのが目的です。
◉家族療法
患者さんと家族が協力して病気に立ち向かえるようにすることを目的にしています。
◉対人関係・社会リズム療法
双極性障害では生活リズムの乱れが症状の悪化の誘因となります。対人関係から生じるストレスや病気にかかってしまったことに対するストレスを軽減させる対人関係療法と、社会生活のリズムを規則正しく整えることを目的とする社会リズム療法を組み合わせたものです。
双極性障害は再発を繰り返しやすい病気です。再発しないようにするためには規則正しい生活を送ったり、長期にわたって薬を飲み続ける必要があります。病気をコントロールすることで、普通の生活を送ることができますので、心配しすぎて逆にストレスにならないようにする事も大切です。
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