吃音とは、「どもる」「なめらかに話すことができない状態」のことで吃音症、小児発症性流暢障害とも呼ばれます。100人のうち約5~8人の発症率であり、ほとんどが幼児期に発症するものです。およそ95%の人が4歳までに症状が現れます。自然に治る場合もありますが、大人になっても吃音の症状が続いている場合もあります。
吃音には個人差はありますが、発現しやすい場面があります。たとえば、苦手な行の言葉を発しなくてはいけない時や周りの目を気にし過ぎる、不安な状況、どもらないように吃音を意識し過ぎたときなどです。
吃音がある人は、「さ行」や「い段」が苦手など特定な音や言葉が苦手である人がいます。また、吃音を周りの人から笑われたりからかわれたりした経験があると、周りの目を気にしてしまい言葉を発することが怖くなります。緊張や不安、意識をし過ぎることで、吃音が現れやすくなるのです。
吃音のある子どもが幼い頃は、軽く繰り返すくらいであれば、自分の症状に気づかないことが多いです。しかし、頻繁に繰り返したり、言葉が出ないことを経験すると、うまく話せないことに不満を感じるようになります。また、成長とともに吃音が固定化し、学童期になると、今までは気付かなかった自分の話し方の違いに気付いたり、吃音を友達に指摘されたりすることで、自覚するようになります。そうすると、話す前に不安を感じるようになったり、吃音が出ることを恥ずかしく思ったり、話す場面に恐怖を感じるようになります。このような心理は、成長の過程で「うまく話せない」という経験が増えれば増えるほど強くなります。
そこで、吃音のある子どもとの関わり方として大切なことをいくつかご紹介します。
○環境調整
吃音のある子どもにとって、家庭が安心して自由なことを話せる場所となるように心がけることが大切です。そのために、吃音のある子どもの話し言葉について要求する水準を下げたり、ゆっくり話せる時間があることを示してあげましょう。
例えば、以下のようなことに気をつけると良いでしょう。
・難しい質問をしない
・短い文章・簡単な言い回しを使う
・次々と質問しない
・目の前にない状況の説明を求めない
・話し方に注目せず、話の内容に耳を傾ける
・ゆっくり話せるように兄弟と別々で話せる時間をとる
・ゆっくり話しかける
また、園や学校に通っている場合は、担任の先生に事前に吃音について伝えておき、友達と話し方をめぐってトラブルになったり、子どもの不安が高まることのないように協力を求めましょう。
○肯定的・受容的な態度で接する
吃音のある子どもと話す場面では、「流暢に話せるように」ではなく、「楽に」話せるような状況をつくりましょう。
そのためには、聞き手が肯定的・受容的な態度で話を聞くことが大切です。
例えば、以下のようなことに気をつけると良いでしょう。
・話の途中で遮ったり代わりに話さず、最後まで子どもの話を聞く
・話し方にとらわれずに、子どもが伝えようとしている内容に意識を向ける
・言い直させたり、話し方を矯正しようとしない
・「ゆっくり話して」「落ち着いて」などプレッシャーをかけない
・吃音が出ても心配そうな顔をしない
・吃音が出たから失敗ととらえずに、吃音が出てもちゃんと伝わったこと、話せて楽しかったことを子どもに伝え、自信をつけさせる
周囲の大人は、吃音が出なかったことを賞賛するのではなく、言いたいことを伝えられたことを賞賛すべきであることを理解しておきましょう。
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