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NS高橋

《唾液について》


 普段、無意識に飲み込んでいる唾液は1日トータルでは0.5~1.5ℓ程分泌されています。口の中に常に2~3ml(計量スプーン小さじ1/2程度)存在しているといわれ、高齢になると分泌量が減少してきます。高齢者こそ唾液で口を潤しておくことがとても大切です。


さて、唾液にはどんな働きがあるのでしょうか?


・唾液には食べやすくする効果


噛むことで口周りの筋肉を使い耳の下、顎の下、舌の下にある唾液腺が刺激され、唾液の分泌量が増加します。高齢になると水分を控えがちになったり、薬を多く服用した副作用などから、唾液の分泌量が減るといわれています。パンやビスケット、芋類など、パサつくものが食べにくいと感じることはありませんか?

食べ物を噛むときに口の中の唾液が少ないと、食べ物がまとまりにくく、噛み砕いたものを飲み込みやすい状態にまとめることができません。また食べ物の味わいにも影響します。まとまっていないもの、パサパサしたものは食べづらく、誤って気管に入ってしまうと誤嚥や窒息の原因になることもあります。


⭐︎唾液の働きとは⭐︎


唾液には、食べ物を食べやすくするだけでなく、口を通して体内に侵入してくる細菌などから体を守るための免疫機能という重要な役わりを担っています。


①消化を助ける

唾液に含まれる酵素(アミラーゼ)が食べ物に含まれるでんぷんを分解、胃で消化しやすい状態にします。

②食べ物を飲み込みやすくする

硬くパサパサした食べ物でも、唾液と混ざることにより、まとまって噛みやすく飲み込みやすくなります。

③味を感じやすくする作用がある

舌の表面に存在する味蕾(みらい)に唾液が味を感じるもととなる物質を運ぶことにより食べ物の味を感じることができます。

④口の中の清潔を保つ作用がある

口の中の食べカスを洗い流し、口腔内をきれいにし、虫歯や口臭を防ぎます。

⑤口内環境を健康に保つ

唾液が口の中の粘膜全体を覆って保湿保護します。唾液に含まれるカルシウムやリンなどは歯の再石灰化を促進し虫歯になりにくくします。

⑥全身の健康を保つ

口から侵入してくる細菌の増殖を防ぎます(抗菌作用)また、がんの原因にもなる活性酸素を減少させるなどの効果も報告されています。 


⭐︎ドライマウスとは⭐︎

ドライマウス(口腔乾燥症)をご存知でしょうか?

唾液の分泌量が減り様々な弊害をきたします。

唾液が出にくく口が乾く、口内炎、広角炎になりやすくなる。食べ物が飲み込みづらくなる。食べものを美味しく感じられなくなる。口が乾き雑菌が繁殖することから口臭の原因になる。会話がしづらくなるなどの症状が見られます。


唾液の分泌量が減る原因


1)疾患(パーキンソン病、シェーグレン症候群、エイズ、糖尿病など)

2)生活習慣や環境(ストレス、口呼吸、不十分な口腔ケア、乾燥した室内など)

3)加齢に伴う機能低下(女性の場合更年期障害以降に見られがち)

4)薬の副作用(抗うつ病薬、血圧降下剤、他)の影響などが考えられます。


※気になる場合は医師に相談し、疾患が原因の場合は適切な治療を受けることをおすすめします。


⭐︎唾液をだしやすくするには⭐︎

まずは、十分な水分補給を心がけましょう。少量ずつこまめな水分補給が大切です。唾液は運動や刺激によって分泌量が増えます。話す・歌う・笑うなど日常的な口を動かす動作が重要です。

さらに意識的に唾液の分泌量を増やすためには、口腔マッサージ、唾液腺マッサージや舌のトレーニングなどが有効です。

噛み合わせがしっかりできていれば、かための食品を食事に加えてみたり、ガムやするめを噛むのもよいでしょう。酸っぱいものや辛いもので刺激する方法もあります。

水分補給だけでなく、食事では水分を多く含むメニューを加えるなど試してみると良いでしょう。


※むせやすい、または誤嚥しやすい方は専門家に相談しながら適切な指導のもと行ってください。


⭐︎まとめ⭐︎

いつまでも美味しく食べものを味わうことが出来るように日頃から口内環境に関心をもちましょう。口腔内が潤いのある状態を保てるように心がけましょう。

緊張で口が乾くというように、唾液の分泌量もストレスによっても影響を受けます。日常的にストレスをため込まないように心身のケアも重要です。



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