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PT世良

廃用症候群について

みなさんは「廃用症候群」という言葉を聞いたことがありますか?怪我や病気で長く入院すると、その言葉を耳にすることがあるかもしれません。廃用症候群は「廃用」、すなわちベッド上で安静にしている期間や活動量が低い状態が維持することによって引き起こされる病的状態の総称です。廃用症候群には運動能力の低下をはじめ、筋萎縮(筋肉が痩せること)、骨萎縮(骨密度が低下すること)、起立性低血圧(立ちくらみ)、心肺機能や呼吸機能の低下、不安、うつ状態などを様々な状態が含まれています。


高齢者や障害者などもともと活動が制限されている方は、廃用症候群の影響を特に受けやすいと言われています。廃用症候群は家に引きこもり、家庭での身体活動を行わないなどの行動や生活上の理由、活動しにくい家の構造、周囲の支援が得られにくいなどの物理的・社会的理由によっても生じます。特に病気の慢性期となると、上記の理由から廃用症候群が引き起こされることも多くあります。


廃用症候群は予防しなければ、時間経過とともに一つの臓器の障害から複数の臓器に影響を及ぼしていきます。例えば大腿骨の骨折をした場合、ギプス固定や手術後の安静は治療に必要なものですが、安静期間が長くなると関節が硬くなる、筋力が低下するといったことが生じます。すると起き上がりや立ち上がり、歩行に障害をきたし、活動が制限され、廃用症候群の悪循環が形成されてしまいます。また、廃用症候群は肥満や糖尿病、高コレステロールなどにつながり、内科的な病気の発生リスクを高めることもあります。運動不足は、「運動障害→廃用症候群の発生や増悪→運動障害の増悪」という悪循環を形成するのです。「安静にしすぎることはかえって危険な場合もある」ということを、頭の片隅に置いておいておくことが重要です。


廃用症候群の悪循環を断ち切るためには、積極的に運動を行い、体力や筋力を維持する事が大切です。高齢者では軽い運動であっても、骨や筋肉、関節が強化され、日常生活動作を活動的に維持する事が出来ます。廃用症候群はある程度予防することが可能なものです。リハビリテーションは廃用症候群の治療だけでなく、予防をするためにも必要です。家の中で出来る運動もたくさんあるため、ぜひ相談してください。


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