息切れとは、呼吸が苦しいと感じる状態を指します。病気ではありませんが全速力で走った後の息がハアハアした状態を想像するとイメージしやすいと思います。人により呼吸回数が増加したり、深呼吸をしないと辛い感じが出たり、睡眠中に苦しくて起きてしまうこともあります。息苦しさや呼吸困難も息切れと同じ意味として使用されています。
受診を勧める目安としてはGrade2以上となります‼︎
《息切れの原因》
肺は空気中の酸素を取り入れ、不要になった二酸化炭素を体外に排出しています。肺で取り込まれた酸素は血液の中に取り込まれ全身をめぐります。しかし、何らかの原因で体に酸素がうまく届けられないと「息切れ」として症状が現れてます。呼吸がうまく出来ない時だけでなく肺はうまく機能しているのに体に酸素が行き渡らないとき、きちんと酸素が行き届いているのに酸素が足りてないと勘違いするような状態になっても息切れを自覚することがあります。
①肺の病気によるもの
肺炎、胸膜炎、慢性閉塞性肺疾患、気管支喘息、びまん性気管支炎、気胸、肺がん、異物誤嚥、縦隔腫瘍、過換気症候群など。
②心臓の病院によるもの
急性心筋梗塞、急性心不全、急性心膜炎、心臓弁膜症、拡張型心筋症、不整脈など。
③血管の病気によるもの
肺血栓塞栓症、肺梗塞など。
④血液の病気によるもの
鉄欠乏性貧血、白血病、骨髄異形成症候群など。
⑤その他の病気によるもの
甲状腺機能亢進症、ギランバレー症候群、全般性不安障害、自律神経失調症など。
《息切れの診断》
息切れは自覚症状です。本人が苦しいと感じていたら息切れです。うまく自身で症状を言えない人や子供などでは、指標として指先に体内の酸素濃度を測る器械をつけて測定したり、血液検査で、酸素濃度を測定して診断します。他の症状や経過などから息切れが病気の一症状である可能性が高い場合は、上記の原因で挙げた疾患を念頭におきながら検査をしていきます。
肺の病気では肺活量を測定するような呼吸機能検査を行ったり、レントゲンやCTで肺の様子をみます。
心臓の病気では、超音波検査で心臓の形や動き、大きさをみていきます。また心電図検査も行います。
血管の異常を調べる場合には、造影CTという血管が白く映る造影剤を点滴しながら診断を行ったりします。
血液検査は一般的に採血で行う。
《息切れの治療》
息切れの原因となる疾患には治療て改善が望めるものと、そうでない場合があります。治療で改善が望めないものについてはそれ以外悪化しないようにするための治療が進められます。ですから、息切れを自覚したら早めに受診することが大切です。
一般的な病気。例えば肺炎や期間喘息、胸膜炎などは炎症が、治れば改善が望めます。ただし、肺炎の一部には肺の機能が、完全に、元の状態に戻らないこともあり、誤嚥性肺炎など、繰り返しやすい肺炎の場合には少しずつ肺機能が低下することもあります。
慢性閉塞性肺疾患は、現在もしくは過去に喫煙していた人に多い病気です。肺の機能改善は難しいのですが、それ以上の悪化を防ぐためには禁煙が重要です。さらには、感染症にかかるリスクが高いためインフルエンザや肺炎球菌の予防接種を、受けておくことも大切です。それでも日常生活に支障をきたす場合は、息切れが出た時に酸素ボンベを持ち歩いたり、家庭で酸素吸入を行う在宅酸素療法が必要になります。
心臓の病気で息切れが出ている場合は心臓の治療をすすめていきます。よく見られるのは心不全です。心臓が血液をうまく全身に送れなくなっているため、酸素を含んだ血液が全身に送れなくなっています。この場合は心臓の負担を、取り除く治療をしたり、不整脈が原因の場合はペースメーカーを使用します。貧血の場合は、出血する病気が隠れていないかを確認したうえで治療を開始します。鉄剤の投与で改善する場合もありますが、高齢者では、造血機能が低下していることもあります。その場合は輸血が必要な場合もあります。また、癌が隠れてこともあるため、早めに専門医の診察を受けることが重要です。
《息切れの予防とケア》
息切れ中には予防できないものもあります。肺の病気や心臓の病気の一部は喫煙によりおきやすくなることがあります。自身のために禁煙することはもちろんですが、副流煙で周りの人への悪影響があることに留意しましょう。
⑴インフルエンザ、コロナウイルスワクチンなど、予防接種をしっかり受けておく。
⑵風邪などの流行シーズンは、手洗い励行、マスク着用し感染対策をする。
⑶日常生活では、急がなくていいようにゆったりしたスケジュールを心がける。
⑷下肢を鍛える運動を毎日少しずつ継続する。
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