最近、街中でよく救急車を見かけませんか。
この季節は、脳卒中や心筋梗塞が起こりやすく、救急車の出動要請が多くなります。
救急車が出動してから現場に到着するまでの平均時間は約8分。
救命の手当が1分遅れるごとに7〜10%低下し、5分経過後には救命率は50%にまで落ちると言われています。
救急車が到着するまでの間、居合わせた人が応急手当てを行う事により、救命の可能性が高くなります。街中で人が倒れている、あるいは自宅で家族が倒れていたら、どのような対応をとれば良いのでしょうか。今回は、応急手当ての中でも、呼吸や心臓が止まってしまった場合の対応について説明します。
■応急手当ての流れ
①反応の確認
倒れている人がいたら、周囲の安全を確認してから近づき、声をかけながら肩を軽くたたきます。事故の場合、骨折の可能性もあるため、体をゆすったり、首を大きく動かさないようにします。
②助けを呼ぶ
反応がなかった場合、近くの人の助けを呼びます。協力者がいる場合は、119番通報と可能であればAEDの手配をします。協力者がいない場合は、自分で119番通報をします。
③呼吸の確認
呼吸が止まっている、普段通りではない呼吸(死戦期呼吸といってしゃくりあげるような途切れ途切れの呼吸)がみられた場合は、心停止と判断して下さい。
④胸骨圧迫
普段通りの呼吸を感じる事ができなければ、ただちに胸骨圧迫を開始します。回数は30回(100〜120回/分の速さです。童謡のうさぎとかめのリズムとほぼ同じです)押す位置は、胸の真ん中。押す位置に片方の手の付け根を置き、もう一方の手を重ねて置きます。
成人では少なくとも5cm沈むように圧迫します。小児では胸の厚さの約1/3の深さを目安に圧迫します。体格に応じて、両手、片手のどちらで行っても大丈夫です。乳児(1歳未満)では、胸の真ん中に指を2本当て、胸の厚さの約1/3の深さを目安に圧迫します。
⑤気道確保→人工呼吸
片手で傷病者の額を押さえながら、もう一方の手で傷病者の顎の先端を持ち上げます。気道確保したまま、額に当てた手の親指と人差し指で傷病者の鼻をつまみます。傷病者の口を自分の口で覆い、1秒かけて吹き込み胸が膨らむのを確認します。胸骨圧迫を30回行った後、人工呼吸を2回行います。この組み合わせを救急隊やAEDが到着するまで繰り返し行います。
※コロナ禍においては、感染対策のため、胸骨圧迫を開始する前にハンカチなどがあれば傷病者の鼻と口にそれを被せるようにします。また感染面を考慮し、人工呼吸は実施せず胸骨圧迫のみの応急処置が推奨されています。
※体位:原則水平です。ただ、意識はないが呼吸はしている場合は回復体位(横向きの姿勢)をとらせます。意識がないと、舌根沈下といって舌の力が抜け、舌の付け根が気道を塞ぐ事があり、呼吸ができなくなります。また、嘔吐や吐血をしている場合、その吐き出したものが気道にはいってしまい、呼吸ができなくなるので横向きの姿勢が好ましいです。
※ご自身やご家族の救急車を呼んだら、保険証や診察券、母子手帳(乳幼児の場合)、お金、靴、普段飲んでいる薬やお薬手帳など準備しておくと便利です。
■救急車が到着したら
発見時の状況や救急車が到着するまでの変化、行った応急手当ての内容、分かれば傷病者の情報(持病、かかりつけの病院、普段飲んでる薬など)を救急隊員に伝えましょう。
事故や急病はいつどこで起こるかわかりません。
実際にそのような状況に居合わせた場合、不安や恐怖が強いと思います。
しかし、その場にいる人がいち早く応急手当てを行う事で、悪化を抑える事ができます。
自分の大切な家族や友人の命を守るため、正確な応急手当ての知識と技術を身につけておくことは大切な事です。
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