今日は未熟児網膜症(ROP)についてお話します。
ROPは簡単に言うとこんな病気です。→網膜は眼の1番奥にあって、カメラのフィルムに相当する場所です。正気産の赤ちゃんでは、網膜の視神経乳頭から網膜血管が網膜の周辺まで伸びているのですが、早産の赤ちゃんでは血管が十分に伸びていない段階で生まれてしまいます。そのため、出生後、網膜の血管が周辺まで伸びず新しくできた血管が問題を起こします。これが未熟児網膜症です。軽症の場合は自然に治りますが、重症になると網膜が剥がれてしまって視力に影響が出ることもあります。
原因は??→早産で生まれたことによる網膜血管の未熟性が根本の原因です。これに加えて、出生後の血液中の酸素濃度や血圧、そして早産でうまれたことによる色々な病気がROPの発症に関係するといわれています。最近は、網膜血管の発達を制御する成長因子が関わっていることも考えられています。
頻度は??→初期の段階も含めると、
在胎22-23w:100%
24-27w:90〜95%
28-29w:70〜80%
30-33w:30〜40%です。
治療について
ある程度まで進行しても自然に治癒する傾向があり、経過をみるため定期的に網膜の伸びなどをみて眼科診察を行います。しかし、程度が強くなった場合は治療を行います。レーザー光線で網膜の病変部を固定する治療が主流ですが、重症の網膜症で網膜剥離となったときには、硝子体手術を行うこともあります。
予後について
→在胎27週以降で生まれた赤ちゃんでは、自然治癒または光凝固による治療効果が期待でき、視力に影響は出ないことが多いとされています。しかし、26週未満の児では視力に問題が残ることがあり、自宅に帰ってからも定期的検査が必要です。
☆早産の赤ちゃんが、入院中に眼の検査や手術を乗り越えてきていることを少しでも知っていただけたらと思います☆
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