⚫︎癇癪(かんしゃく)とは?
大声で泣いたり、激しく奇声を発したりするなどの興奮を伴う混乱状態のことです。不快な刺激や状況を拒否したいとき、また自分の意見を主張したいときに、うまく表現できないときに起こりやすく、コミュニケーションの手段として習慣化することもあります。
⚫︎具体的な癇癪の行動は?
・床にひっくり返り泣き叫ぶ
・物を投げる
・自分の頭を叩く、物にぶつけたりする
・床や壁などに頭を打ちつける
・周りの人を引っ掻く、殴る、蹴る
・手がつけられないほど暴れする
というような状態がしばしば見受けられます。
⚫︎どんな時に起こすの?
元々癇癪が起きやすい子どもも多いですが、穏やかに過ごしていた子どもが突発的に癇癪を起こすこともあります。また過度な場合だと癇癪を起こしている時に、自制できず衝動的な行為として自分を傷つけてしまう(自傷行動)、物を壊したり、他者を傷つけてしまう(他害)こともあり、保護者の方が不安になってしまうことも多いかと思います。
⚫︎癇癪の原因は?
その場の気持ちや状況、子どもの特性気質により癇癪を起こす原因は多種多様です。癇癪を起こす子どもにはどのような背景があり、癇癪がどのような目的を達成するための役割を果たしているのかを大人は考えていく必要があります。
⚫︎癇癪を起こす時期と示したいこと
① 乳児期(0歳~1歳)頃:生理的反応としての癇癪
乳児期には生理的な不快な刺激や状況によって癇癪が引き起こされることがあります。空腹や眠気、痛み、おむつが濡れたなどの生理的な不快を赤ちゃんは「泣く」ことで表現します。赤ちゃんが泣くと、保護者はあやしたり、ミルクをあげたり、生理的な不快を解消するお世話をします。この関わりによって、赤ちゃんはコミュニケーションの基盤を学んでいきます。この時期の癇癪は、赤ちゃんの成長にとってもとても必要なことです。保護者はこの生理的要求に応えることが大切です。
② 1歳頃:コミュニケーションのための癇癪
この時期になると、保護者のしたいことと自分のしたいことが違う場合があることがなんとなく理解でき始め、子ども達は保護者の行為に対して拒否的な反応を示すことがあります。癇癪を起してしまうのは、子どもにとっても不都合で回避したい出来事があるようなときでしょう。この時期の癇癪は、自分と保護者が別の考えや気持ちをもっていることに気付いてきたという成長の現れがみられます。
③ イヤイヤ期(2歳~3歳)頃:言葉を使用して自分の意思を主張
2歳、3歳頃になると言葉も使用し「いや!」といいながら自分の意見を主張します。これがいわゆる「イヤイヤ期」といわれる時期です。周囲の人と言葉でコミュニケーションができる子どもであれば、苦痛や拒否感、要求などを適切に表現して伝え助けを求めることができるでしょう。しかし、まだ精神面での発達が未熟なこの時期は「何が嫌なのか」を伝えることが難しいのです。
⚫︎癇癪が起こった時は?
① 子どもの安全を確保する
癇癪が起きたときは、まずは子どもが怪我をしないように危険なものを遠ざけたり、周りの安全を確保したりします。
頭を床や壁にぶつけるなどの癇癪の場合には、クッションや枕を子どもと物の間に挟んで、怪我を防ぎましょう。
② 癇癪が生じている間は必要以上にかまわない
癇癪が生じた場合、必要以上に声掛けをしたり、注意したりしてかまうことで、結果的にそれが子どもの要求をかなえてしまったり、より興奮させてしまうかもしれません。
難しい状況もあると思いますが、できる限りほかのことで気を散らしたりして落ち着くまで待つほうがよいでしょう。
③ 落ち着けたことを必ず褒める
癇癪が止まり、子どもが完全に冷静さを取り戻したタイミングで落ち着けたことをしっかり褒めるようにしましょう。褒めることで子どもは安心感を抱き、さらには気分を落ち着けるための方法を学ぶことで、予防にもつながります。
時間が経ってからだと、癇癪を起して落ち着いたという一連の流れを忘れてしまうので、落ち着いたらその場で褒めてあげることを心がけましょう。
癇癪が起きた際に、ただ「怒っている」「泣き叫んでいる」という単なる一つの行動ではなく、「不都合な状況(原因)」を確認し、「不都合を取り除く方法(手段)」を模索し、「目的を達成する」という行動のまとまりとして捉えていくことが大切です。
大人も焦ってしまうことも多いかと思いますが、癇癪に対して大声で叱責をせず、落ち着いて対処してみることをお勧めします。
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