発達障害の子は、他の多くの子とは異なるユニークなコミュニケーションスタイルを持っています。それが会話のすれ違いにつながり、悩みのもとにもなっています。発達障害の子に必要な「会話力」は、一般的にイメージされる雑談や交渉などをうまく行う総合的な力ではなく、子供の個性的な話し方や聞き方をベースに日常生活に必要な会話を行う力です。ここでは、会話力を楽しく育てるポイントをご紹介します。
◉コミュニケーションスタイルの違いとして考えていく
発達障害の子のコミュニケーションスタイルはユニークなだけで劣っている訳ではありません。いつも会話が苦手なのではなく苦手な場面とうまくいく場面があります。うまくいく場面を増やしていけば、子供は楽しみながら力をつけていけます。発達障害の子のユニークなコミュニケーションスタイルを他の子と比べて「不足している」「かたよっている」と考えるのではなく、ただ「違っている」のだと考えます。ただ違っているだけで、その違いに合った育て方をすればその子らしいユニークな会話力がしっかりと育っていきます。そのため、理解のある家族や趣味の合う人、特徴の似た人など話し方のスタイルが合う相手とは会話を楽しめることが多いのでそのような相手や場面を増やすことが会話力アップにつながります。
◉話したいという気持ちを何よりも大切に
会話の苦手な子でも、話しやすい相手や場面であれば自信を持って話し会話を楽しむことができます。そうして会話を楽しめた子は「もっと話したい」と思い、相手を気づかって話し方を工夫することも学びます。会話の成長には話し方のテクニック以上に、子供が会話を楽しむ経験や「話したい」という気持ちが重要になります。その中でも
①その子の得意なやり方で
②その子のやりたいことを
③その子にわかりやすく、この3つを意識して対応していきます。
①その子の得意なやり方で
子供の話し方や聞き方にクセが合っても否定しない。その子にとって得意なやり方だと受け止め、それをベースにして会話のスキルを育てていく。
②その子のやりたいことを
趣味や興味など、子供がモチベーションを持てることを会話に取り入れる。子供が会話を楽しめる場面を増やしていく。
③その子に分かりやすく
まわりの人が子供にとって分かりやすい言い方、情報の示し方を意識する。それによって子供の会話への苦手意識をやわらげる。
発達障害の子の多くはコミュニケーションに困難を抱えています。コミュニケーションスタイルの違うもの同士が会話をするとスムーズにいきません。そして、少数派である発達障害の子の側に原因があると思われがちです。しかし本当は相互の問題です。発達障害の子も彼らに合った場面で同じ波長の仲間となら気持ちよく話ができます。場面や相手に恵まれれば自分なりのスタイルで会話を楽しむことができます。発達障害の子と関わる側も相手に寄り添う意識を持って関わっていけるといいですね。
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