老人性難聴(加齢性難聴)とは高齢者に多く見られる難聴で、内耳の蝸牛(かぎゅう)の有毛(ゆうもう)細胞が壊れて減少することにより発症します。
症状は加齢にともなって30代ごろから進行し、60代ごろに聞こえにくさを自覚する場合が多いです。
老人性難聴には通常の難聴と異なる特徴が三つあります。
1.高音域から聞こえづらくなる
2.特定の発音から聞こえづらくなる
3.両耳が均等に聞こえなくなる
①高音域から聞こえづらくなる
老人性難聴の特徴のひとつが高音域(高周波)の音から聞こえづらくなることです。特に60代から急速に難聴が進む傾向にあります。具体的には体温計や家電製品の電子音、電話の呼び出し音などの機械的な音が聞き取りにくくなる方が多いです。
②特定の発音から聞こえづらくなる
老人性難聴ではカ行やサ行など、一部の発音の聞きわけが難しくなります。高音域の音が聞こえにくくなることで、子音の判別ができなくなるからです。例えば「さかな」という単語であればサ行とカ行の子音である「S」と「K」が聞き取れず、「ああな」と言っているように聞こえてしまいます。
③両耳が均等に聞こえなくなる
老人性難聴は片耳だけではなく、両耳の聴力が低下するのが特徴です。
人によっては左右どちらかの耳の聞こえが良い場合もあります。聞こえに左右差がある場合は老人性難聴以外の要因で聴力が低下している可能性があるので注意が必要です。中耳や外耳の疾患による難聴が考えられるので、心配であれば耳鼻科を受診すると良いでしょう。
話しかけ方のコツ
老人性難聴の方への話しかけ方のコツは三つあります。
● ゆっくりはっきりとした発声で、意味のまとまりに区切って話す
● 正面から話すよう心がける
● 話しかける前に手ぶりなどで注意を引く
老人性難聴は老化現象のひとつであり、抜本的な治療はできません。生活習慣の見直しや周囲の人の接し方により、症状の進行を抑える必要があります。
どうしても耳が聞こえづらくなってしまった場合は、補聴器の使用を検討すると良いでしょう。補聴器が聞こえにくい音域をカバーすることで、今まで聞こえにくかった音を聞こえやすくしてくれます。
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