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PT岩島

胸郭出口症候群について

家事や仕事をしていて腕を挙げた時に首から腕が痛い、痺れる、このような症状に悩まされている方はいらっしゃいませんか?

もしかしたら胸郭出口症候群という疾患かもしれません。主になで肩の方や重いものを持ち運ぶ仕事をしている方にこのような症状を訴える方が多いです。また、最近はスマホに触れる時間が長くなり、結果として姿勢も崩れ、それが要因で発症してしまう方も多いかもしれません。

本日解説する胸郭出口症候群は神経障害と血流障害による腕の痺れ、感覚障害、首・肩・腕の痛みを生じる疾患の一つです。


●原因

腕やその付け根の肩甲帯の運動・感覚を支配する腕神経叢(神経)と鎖骨下動脈(血管)は前斜角筋や中斜角筋といった首の筋肉の間、鎖骨と肋骨の間、小胸筋といった胸の筋肉と肩甲骨の間を通っています。その神経や血管がそれぞれの部位で絞めつけられたり、圧迫されてしまうと腕の痛みや痺れに繋がってしまいます。


●主な症状

主な症状として腕や手の痺れや痛み、筋力低下がみられます。症状自体は徐々に出現することが多いです。また、首や肩周りのこりを自覚することがあります。洗濯の時や電車の吊革につかまるような姿勢をとるときなどの腕を挙げる動作で肩や腕、肩甲骨周囲のしびれや痛みを自覚します。また、手の感覚が鈍い、握力が弱くなった、細かい動作がしにくいなどの症状があります。

手指の運動障害や握力低下のある例では、手の筋肉の萎縮により手のひらの盛り上がりがなくなり、手がやせてみえてくることもあります。また、鎖骨下動脈が圧迫されると血行が悪くなって腕は白っぽくみえます。


●診断

胸郭出口症候群かどうかを確かめるテストが3つあります。

1.アドソンテスト:

腕のしびれや痛みのある側に顔を向けて、そのまま首を反らせ、深呼吸を行なわせると鎖骨下動脈が圧迫され、手首のところの橈骨動脈の脈が弱くなるか触れなくなります。

2.ライトテスト:

座位で両手を横に開き、肘90度曲げる姿勢をとらせると手首のところの脈が弱くなるか触れなくなります。また、血流も悪くなり、腕は白っぽくみえます。

3.エデンテスト:

座位で胸を張らせ、両肩を後下方に引かせると、手首のところの橈骨動脈の脈が弱くなるか触れなくなります。


●治療と予防

日常生活で症状が出る姿勢を理解すること、そしてその姿勢をできるだけ避けることが重要です。猫背等の不良姿勢が原因となる場合もあり、胸を張って姿勢をよくすることで改善することもあります。可能な限り重いものを持たないように注意することも重要です。

以上のような予防策に加えて、症状が現れているときには消炎鎮痛剤などの対症療法薬を使用することもあります。症状が強く、日常生活に支障をきたしてしまう場合は手術を行うことも選択肢として挙げられます。

その他にも似たような症状が出現する頸椎椎間板ヘルニアや頚椎症、肘部管症候群などの疾患があるため病院や整形外科で正確に診断していただくのが良いと思います。


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