■加齢による「嚥下障害」は、誰にでも起こりうる障害。とりわけ錠剤の服用時には注意が必要
嚥下障害とは、疾患によってあるいは加齢に伴ってしだいに嚥下能力(飲み込む力)が衰え、食事や飲み物などを上手に飲み込めなくなる障害です。病院で処方される「錠剤」も飲み込みにくいものの一つで、この症状は「錠剤嚥下障害」と呼ばれています。「錠剤嚥下障害」が起きると、錠剤が口やのど、食道に留まってしまい、正しい投薬治療効果を得られなくなります。さらには、錠剤が留まった部分に粘膜損傷や潰瘍が発生するといった事態も引き起こします。
■錠剤を飲み込みにくいと感じた方がやってしまう決定的な失敗は、「錠剤を砕いて飲む」こと。
錠剤を飲みにくい場合、やってしまいがちな失敗が二つあります。一つは、苦痛が原因で服薬をやめたり、頻度を減らしたりすること。もう一つは、「無理やりにでも飲もう」とすること。特に服薬時にいつも飲み込みにくさを感じている方のうち、一割以上の方が「錠剤を砕いて」飲んでいます。これは、本人のみならず、ご家族も同様で、「少しでも飲みやすくしたい」との思いからしているケースが多いようです。しかし実は、「錠剤を砕いて飲む」ことが、最もやってはいけないことなのです。
■飲み込まれた錠剤は胃や腸に運ばれ、 適した場所で壊れるように設計されている
なぜ、錠剤を砕いて飲んではいけないのか? それは、錠剤は適した場所で壊れ、適した薬効を得られるように設計されているからです。砕いてしまうと、狙い通りに効かないだけでなく、効き過ぎて副作用や苦痛が生じることもあります。 特に、薬の成分がゆっくりと溶け出し、効果が長く続くように加工されている「徐放性製剤」を粉砕して服薬すると短時間で薬の効果が出て危険です。
■飲み込みにくさを感じたら、自分だけで判断・対応せず、医師や薬剤師などの専門家に相談を
飲みにくさを感じている方であっても、多くの方は医師や薬剤師などの専門家に相談することもなく、我流で判断して対処しています。今は飲みやすさを考えた剤形の薬もあります。少しでも飲みにくさを感じることがあったら、まずは専門家に相談することから始めてください。
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